ふるさと納税は節税にはならない!?元地方税担当者が損する場合と得する場合を解説

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ふるさと納税をする人は年々増加傾向にあります。

周りでもふるさと納税をしている人が現れたり、ふるさと納税という単語が飛び交うことが増えてはいませんか?

そのため、「自分もしたほうが良いのではないか?」、「節税になると聞いたが本当か?」などと考えている方も多いと思います。

結論から述べると、ふるさと納税は税金の先払いであり、節税にはなりません。

ではなぜ、多くの人がふるさと納税をしているのかと疑問に思いますよね?

そんなあなたに地方税や所得税に関して数年間担当していた私が、この記事を読むことで以下のことがわかるよう解説します。

・そもそも、ふるさと納税って何?
・ふるさと納税のメリットとデメリットは?
・ふるさと納税をする際の注意点は?

ふるさと納税とは

まずは、ふるさと納税とはどんなものなのか簡単に解説していきます。

住民税の一部の納税先を好きな自治体へ変えられる

一定以上の収入がある方は、住んでいる自治体へ住民税(市民税・県民税)を毎年納税していると思います。

ふるさと納税はその住民税の一部を自分の好きな自治体へ寄付という名目で納税できるという制度です。

自治体への寄付によって住民税の先払いをすることで、翌年度の住民税(確定申告をする場合は所得税も)から先払いした金額を控除することができます。

ただし、先払いした金額を全て控除できるわけではなく、最低でも2000円を引いた金額になるため、自己負担2000円が発生します。

例えば、東京都新宿区に住んでいる人が1年間に10万円の住民税を払う予定とします。

その人が自分の故郷である北海道札幌市にふるさと納税を2万円すると、新宿区で払う10万円のうち、2万円が札幌市へと移動し、結果的に新宿区で払う住民税が8万2千円になるのです。

所得税の確定申告をする場合は住民税だけでなく、所得税の金額も計算上関わってくるため、上の例とは金額がズレてくるため注意してください。
ここでは、一部の住民税の納税先を自由に決めれるということを覚えていただければ大丈夫です!

このように、ふるさと納税は自分の生まれ育ったふるさとや、応援したい自治体に納税ができるという制度なのです。

ふるさと納税で日本を元気に!

地方で生まれ育ち都会に出てきた方には、
誰でもふるさとへ恩返ししたい想いがあるのではないでしょうか。
育ててくれた、支えてくれた、一人前にしてくれた、ふるさとへ。
都会で暮らすようになり、仕事に就き、納税し始めると、
住んでいる自治体に納税することになります。
税制を通じてふるさとへ貢献する仕組みができないか。
そのような想いのもと、「ふるさと納税」は導入されました。

引用:総務省 ふるさと納税ポータルサイト

節税ではなく選択であり、負担額はむしろ増える

ふるさと納税は納税先の変更であるため、節税ではありません。

それどころか、「自己負担2000円」と言われているように最低でも2000円負担する額が増えてしまうのです。

では、節税ではなく、負担額も増えるのになぜふるさと納税をする人がいるのかと疑問に思われたかと思います。

実は、ふるさとの納税によって自己負担額を超える価値のある食料品や日用品、ポイントがもらえることで、得になる場合があるのです!

詳しくは次から解説します。

寄付先の自治体から返礼品がもらえる

ふるさと納税をすると、その金額や納税先の自治体によって様々な返礼品を受け取ることができます。

返礼品はトイレットペーパーのような生活必需品や、マンゴーや鮭いくらなどの高級品、パキラなどの観葉植物と多種多様なものがあります。

「返礼品の価値は寄付額の3割以下とする」というルールがあるため、1万円のふるさと納税すると、3000円程度の価値がある返礼品を受け取ることができます。

楽天ポイントやPayPayポイントもたまる

ふるさと納税は寄付したい自治体へ直接申し込みをするか、ふるさと納税ポータルサイトを経由して申し込みをするかの2種類があります。

ふるさと納税ポータルサイトを経由して寄付をすると、その金額に応じて様々なポイントがもらえることがあります。

例えば、「楽天市場」からふるさと納税をすると楽天ポイントがもらえ、「さとふる」からふるさと納税をするとPayPayポイントがもらえます。

サイトによってポイントの還元率やキャンペーンは変わってきますが、少なくとも寄付額の5%以上のポイントがもらえる場合が多いです。

返礼品とポイントで自己負担2000円以上にお得

ここまでの解説を見ていただければ気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

返礼品の価値が寄付金の約3割ということは1万円ふるさと納税をするだけで3000円分の品物を受け取ることができます。

自己負担が基本2000円なので、差し引きで1000円得をしていることになるのです!

ここにポイントまで付けば、かなりお得と言えるでしょう。

私も毎年ふるさと納税をしていますが、ポイントだけで2000円以上もらえているため、全額キャッシュバックされた上に、日用品や食料品までもらえてしまっています。

このように、返礼品やポイントで自己負担額以上に得ができるため年々多くの人がふるさと納税を始めています。

ただ、「こんなにお得なら絶対やったほうがいいじゃないか!」と思った方、ちょっとお待ちください!

実は誰もが得をできるわけではなく、場合によっては損してしまう場合もあるのです!

ふるさと納税で損をしないためには

ここでは、ふるさと納税で損をしないための注意点について解説していきます。

自己負担額が2000円を超える場合がある

ふるさと納税をした際の自己負担額は最低2000円です。

そのため、場合によっては2000円を超えてしまうことがあるのです。

自己負担額が増えてしまうパターンは大きく分けると3つあります。

以下の3つに気を付けましょう。

・収入が少ないため住民税が非課税(税金がかかっていない)
・ふるさと納税をした金額が多い
・住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を使っている

所得税と住民税が非課税の場合は全額自己負担

所得税と住民税が非課税の場合、ふるさと納税をした金額がすべて自己負担となります。

返礼品やポイントをもらうことはできますが、出費の方が多くなるため、損となってしまいます。

そのため、非課税の方はふるさと納税をしないほうが良いという結論になります。

ただ、純粋にふるさとの自治体を支援したいという方は寄付をしても良いと個人的には思います。

それがふるさと納税の本来の理念なのですから!

所得税と住民税から控除される金額には上限がある

ふるさと納税によって所得税と住民税から控除できる金額には上限があります。

この上限を超えて寄付をしてしまうと、超えた金額の分だけ自己負担額が増えてしまいます。

限度額の計算は非常に複雑なものとなっていて、税務経験のある方でないと手計算は中々難しいです。

しかし心配はいりません!

様々なサイトがふるさと納税の上限を計算するシミュレーターを公開しているからです。

ここに自分の収入や控除額等を入力することで、限度額を自動計算してくれるのです。

ふるさと納税の控除上限額(限度額)がわかるシミュレーション&早見表 | ふるさと納税サイト「さとふる」 (satofull.jp)

ただし注意点が一つあって、シミュレーションで計算できる金額はあくまで過去のものであるため、今年の金額とは必ずしも一致しないです。

そのため、今年の収入状況を見比べながら、参考程度に使うようにしましょう。

住宅ローン控除で自己負担額が増えることがある

最後は住宅ローン控除を使っている方やこれから使う予定のある方に向けての注意点です。

住宅ローン控除を使っていて、年末調整や確定申告により所得税が0円になっている方は自己負担額が増える場合があります

自己負担を2000円にするには、ふるさと納税の金額を抑える必要が出てくるため、こちらもシミュレーターで概算して確認をしてください。

ふるさと納税のメリットとデメリット

ここまで見ていくと、ふるさと納税はメリットが多いと感じられますが、デメリットもあります。

ここではその両方について解説していきます。

ふるさと納税のメリット

ふるさと納税のメリットは主に以下の3つです。

・返礼品やポイントがもらえる
・ふるさとや好きな自治体を応援・支援できる
・自治体間の税収の格差が縮小される

一番下は自治体目線のメリットとなっています。住民税は「住んでいる人が払う税」であるため、人口が多い都市部ほど、税収が増えます。

その都市部に住んでいる人が、地方へふるさと納税をすることで、都市から地方へと税収が流れていき、人口による税収の格差が縮小されるのです。

宮崎県都城市ではなんとふるさと納税で100億円の利益を出したことがあります。

ふるさと納税のデメリット

デメリットは主に以下の2つがあります。

・自己負担として2000円が必ずかかる
・自治体の税収が減って公共サービスの低下を招く可能性がある

自己負担額2000円はデメリットではありますが、返礼品やポイントで打ち消すことができるため、大きな問題にはなりません。

ただし、自治体側のデメリットがあります。

2022年の横浜市ではなんと272億円もの税収が他自治体へと流出してしまっているのです。

国から流出した額の75%が補填される自治体もありますが、それでも損失はかなりの金額となっています。

この損失が続くことにより、住んでいる地域の公共サービスの低下を招く場合があります。

ただ、ふるさと納税という制度がそもそも地方へ財源を分配する目的で作られています。

なので、これを理由にふるさと納税をすることを止めなくても良いのではと私は思っています。

制度を理解してお得にふるさと納税をしよう!

ここまでの解説をまとめると以下のとおりです。

・ふるさと納税は節税ではなく一部の住民税の納税先の変更
・自己負担額として最低2000円がかかるが、返礼品やポイントがもらえるためお得!
・住民税が非課税、住宅ローン控除を使っている場合は自己負担額は増える可能性あり
・ふるさと納税により都市から地方へと税収が流れている

ふるさと納税はメリットの方が大きいため、私は毎年しています。

まだ始めたことがない方は、この機会に始めてみてはいかがでしょうか?

この記事が足掛かりになれば幸いです!

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